バンコクの40バーツ食堂に行ってきた!
とうとうこの日が来てしまいましたね…
敬愛なる父上様、プミポン国王が天に召されました。
タイ全土が喪に服している。
僕はつい数日前の今週火曜日までバンコクを訪れていたのですが、帰り際にドンムアンのターミナルでなんとなくお写真を見上げたのを鮮明に覚えている。
一度でもタイに行ったことのある人なら分かると思うけれど、肖像画はそこら中に張られていて彼がいかに国民から愛されているかよく分かる。
ボートの上から肖像を見つけたとき記念に写真撮ろうとしたらたまたま一緒に乗り合わせていたバンコク在住日本人のおじさんに
「ダメダメ!撮らないほうがいいよ!」
と諫められたのはちょうど一年ほど前の話。
タイ人がいるところで国王や王室対して何かしらのリアクションを取るのは冗談でも絶対にやめた方がいいと教わったのも今となってはいい思い出だ。
とにかく今は冥福を祈ろう。またあの国を訪れることができるように…。
さて、僕が先日訪れたのはバンコクではちょっとばかり有名なこのお店。
「カオゲーンブッフェ」である。正式には後ろにオーナーの名前が入るそうなのだが、Googleマップでは「パーウライ」となっているのに対して他の日本人ブロガーの方の記事では「チェーウライ」と紹介されている。どっちが正しいのかは不明であるが、正直どっちでもいい。
さて、「カオゲーン(ข้าวแกง)」は直訳すると「汁かけ飯」という意味で、要するに金属トレーに入った好きなおかずをご飯の入ったお皿の上に自分で盛っていくといういわば「タイ式バイキング」である。
写真を見て頂けるとお分かりになるであろうが、日本人の感覚でいうと正直パッと見ホームレスの家にしか見えないレベルのボロさなのでこのビジュアルに免疫がない人はまずここでお店に入るのをためらってしまう。これ日本の消防法とか食品衛生法じゃまずアウトなレベルだと思うけど…ここはタイなのでマイペンライなのでしょう。
【行き方】
①地下鉄ペッチャブリー駅の3番出口を出るとARLの高架が見えるのでこちらに向かって歩く。国鉄のマッカサン駅もすぐそこにありますよ。
②踏切があるので渡らずに左へ。まっすぐ進んでいくと右側に立派な空港列車の高架、左側にボロボロのバラック小屋や工場が共存するカオスな風景が続きます。車がめっちゃ多いので気を付けて。
③道なりに進むとこの三叉路に合流します。ここで左に行かずに、写真正面の道をしばらく進んでいくと左側にお店があります。
さあお店に入ってみよう。色んな料理が並んでいる。このおっちゃんが黙ってスプーンとフォークを差し出してくるのでそれを受け取り奥へ進む。
奥に入ると使いまくって傷だらけになったのであろう黒ずんだ皿が山のように積まれているのでそれを取ってご飯を盛る。その上に好きなおかずをかけるのであるが、ここではまだお金は払わずに席につく。
でき上がりはこんな感じ。もっといろいろ盛りたかったけれどお皿が小っちゃくて断念。
席につくと目の前にはきったないため池が広がっていた。ただこの池、別にこれといって臭かったりするわけではなかったので一安心。
気を取り直して一口食べてみる。とこれがめちゃくちゃウマい!
前の日にマックスバリュで買って食べた35バーツのアサリのバジル炒めご飯みたいなやつが全くおいしくなかったというのに加え、最初にお店を見た時点では味には全く期待していなかったので、この味のレベルには正直感動。
大鍋で煮込まれていた具だくさんスープもチキンコンソメ味で日本人の味覚にもバッチリ合う。
一口、また一口と食べ進めているうちにオーナーらしきおばちゃん(というかおばあちゃん)が何やら話しかけてきた。案の定英語なんて全く分からないようだったけれど、手招きしてきたのでなんとなく行ってみる
とこの真ん中のそうめんみたいなやつを指でべローンとつまんで進めてきた。
なるほど、このおばあちゃんは外人の僕にいろいろ食べさせたくて声をかけてきたのか。食べてみてもよかったのだけれど、最初に取ったご飯が思ったよりも多く食べきれるか不安だったのでやんわりお断りすると、おばあちゃんは厨房へ入って行ってしまった。
店内に目をやるとこんな写真が。このお店は地元タイのメディアの取材もたびたび受けているらしい。写っている女の人は若いころのおばあちゃんかな?
黙々と食べ進めていくとおばあちゃんが戻ってきた。
なんと、スクランブルエッグを作って持ってきてくれた!
「今お金を払うの?」と財布を取りだす仕草をすると「ちがうちがう!」と首を横に振るおばあちゃん。どうやら本当にご飯を食べさせたいだけのようだ。
せっかくなので一口食べてみると、これまためちゃめちゃ美味しい!揚げるように作っているからなのか油まみれだったものの、満腹気味でもペロリと食べられる美味しさだった。
食べ終わると食器をバケツに入れてお会計。看板に書かれている30の数字の上に40と上から張られていたので泣く泣く40バーツに値上げしたのだろう。タイ人の生活水準の上昇を感じる。
帰り際に「写真撮ってもいい?」とジェスチャーすると快くOKしてくれた。
「コックンカッ」とワイをするとニコッと笑って返してくれた、かわいいおばあちゃんとおじちゃん。
結局、たらふく食べたけれど彼らは40バーツぴったりしか受け取らなかった。値上げに関しては本当にやむを得ずだったのだろうけれど、それでもこのクオリティで40バーツは十分安い。タイにもこんな欲のない人たちがいることに、なんだか胸が熱くなった帰り道だった。
【カオゲーンブッフェ パーウライ】
定休日…土曜日・日曜日(少なくとも日曜日は確実に定休日のようです)
(※2016年10月13日に国王陛下が亡くなられたためタイ政府が国民に対して喪に服すよう声明を出しています。基本的に飲食店は閉まっている可能性が非常に高いので、これから訪問される方は気を付けて下さい)
タイのおばあちゃんの味。興味のある方はぜひ。